◆制度発足の経緯
平成13年9月、新宿区歌舞伎町ビル火災が発生し、延べ面積500平方メートル程度の小規模なビルであったにもかかわらず、44名の死者を出す大惨事となりました。
このような大惨事となった要因として、避難する際の障害となる商品が放置されていたこと、防火管理者が選任されておらず避難訓練も行われていなかったこと、消防用設備等の点検も行われていなかったことなどの消防法に違反していました。
こうした状況を改善するため、防火管理が適正に行われるよう、防火対象物の関係者による定期的なチェック体制を設け、防火管理に対する主体性を高めるため、一定の防火対象物の管理について権原を有する者(建物のオーナー等)は、防火対象物点検資格者に防火管理上必要な業務等について点検させ、その結果を消防長又は消防署長に毎年1回報告することが義務づけられたのが、防火対象物点検報告制度です。
◆防火対象物点検資格による点検とは
点検資格者は、次のような項目を点検します。
防火管理者を選任しているか?
消火・通報・避難訓練を実施しているか?
避難階段に避難の障害となる物が置かれていないか?
防火戸の閉鎖に障害となる物が置かれていないか?
カーテン等の防炎対象物品に防炎性能を有する旨の表示があるか?
消防法令の基準による消防用設備等が設置されているか?
◆防火対象物点検報告の流れ
消防法令に適合している場合は、点検済証を1年間表示できます。
点検報告をしなかった者には、30万円以下の罰金又は拘留が、
その法人に対しては、30万円以下の罰金が科されることがあります。